こんにちは、うえちかブログです。
以前アルファベットの歌 ABC songのえれめのぴーって何? について書きましたが、
今回は26文字あるアルファベットの中の1つ、「W」のみに焦点を当てて行きたいと思います。
Aはエー、Bはビーと文字にはそれぞれ呼名がありますし、特に当たり前過ぎて不思議にも思わないですよね。
そして皆さんこのWという文字、ダブリューと認識されていると思います。
ただこのW、実は特別感を秘めている文字なのです。
W = Double-U
英語を本格的に学んでいる方(特に発音をしっかりやっている方)には絶対に避けては通れない「おや⁉️何で⁉️」となる瞬間があります。
なぜかと言うと、Wはダブリューではなくdouble U (ダブル ユー)と発音するんです。
発音が似ているとかではなく、double Uが正式な発音なのです。
じゃあ W って「 U が2個」って意味なの?
はっ!そう言えば小文字の w って u を2つ並べた形(uu)に似てない事もなきにしもあらずなような…。
でもそれを言うなら V の方が全然似てるし…。どちらかと言うならダブルブイじゃない?
実際、フランスや他のヨーロッパの国ではWは「double-v(ドゥーブルヴェー)」や「Vが2つ」的な呼び方をしているらしい…
これは一体どゆこと?
ってかそもそもアルファベットを他のアルファベットで表すって何だってなりますよね?
気になって自分なりに色々調べてみましたが、
これまた難解な謎で、なが~い言語の歴史が関係していました。
それではWが出来るまでの気の遠くなる軌跡を追ってみましょう。
Wの起源
先ずアルファベットとはラテン文字(またの名をローマ字)のことで、ギリシャ文字から誕生しました。
ただそこから遡ると一生Wの話にたどり着かないのでそこは当たり前のようにスルーです。
何はともあれ誕生したアルファベットですが、A~Zまで26文字、初めから全員が揃っていたわけではありません。
お察しの通り U と W は初期メンバーには入っていませんでした。
もっと言うと第1期生にはGやJも入ってません。
その代わりに今では英語の「a」の発音の一部に取り込まれてしまった「æ」(アとエの中間 「えぁ」 という音)などを含め複数のメンバーが次々に卒業していきました。
そして第2期生、3期生メンバーの加入があったり、卒業と加入を繰り返して6世紀ほど前(以外と最近!)にようやく今の26文字に落ち着いたのです。
で、ここからが本題です。
Wはどのようにしてアルファベット坂26に加入したのでしょう?
↓
↓
そして何故、英語ではダブルユーと呼ばれ、他のヨーロッパ言語ではダブルブイ的な名で呼ばれるのでしょうか?
結果から言うとUとWはVから派生して作られ、WがDouble U と名付けられたのは、
UとVは結構最近までしっかりした区別が確立されていなかったからです。
ただ、それは色んなサイトに書いてあることですが、正直全然なっとくが行きません。
だってそんなことってあります?
100歩譲ってVからUが出来、そしてWが誕生したというのは全然理解できます。
それから、VとUが当初使い方があやふやで混ざってしまったのも理解できます。
それはUが作られる前は恐らくVがUの代わりもしていたからなんでしょう。
形も似ているし、当時の人達が新しい文字に慣れるまでは「Vのみを使う人」と
「しっかり2種類使い分けている人」が混在していても不思議ではないですしね。
(進化の過程で首長キリンと首みぢキリンが共存していた時代のようなものですね)
でもそれって結局は使いかたが曖昧ってだけでアルファベットの区別としてはしっかり出来ていたんじゃないのか…と疑問に思ってしまいます。
Vが先に存在していたのであれば、もうとっくにヴィー/ブイという呼名は浸透していてもいいはずで
むしろ浸透していないのはUの方じゃないのでしょうか?
それなのにWの発音はダブル ユー…。
V/Uの区別が曖昧だからはあまりにも説得力が欠ける気がする。そう思うのは自分だけだろうか…。
と言うわけで、いろいろ読みあさったところ、やはり事態はそんな単純なものではなかったのです。
↓
↓
先ず英語はゲルマン語に分類されていますが、
アルファベット使っていることから見ても分かるように昔の英語(古英語)は
ラテン語から大量に単語をもらっています。
その昔、ラテン語にはV(ウー)という文字があり、「u音」(=ウの音)と「w音」(=ワ行の音)の両方の役割を担ってましたが「v音」、
即ち「ヴ」と発音するいわゆる現在馴染みのあるVの音は存在していなかったそう。
その後、ラテン語から別れていったロマンス語系では母音(u音)をVから独立させて表記させるためにVの底を丸めてできたUを使うようになったらしい。
ですので、u音はUがw音はVが担当していたんですね。
一方、古英語にはUのみが存在しVを使用していなかったらしい。その言語にw音が無いのであればVは要らないというのは頷けます。
この時点で英語にとってはUの方が古株であったということが分かりますね。
しかし他のゲルマン語には英語にはないv音があったため、Vにこのv音を使い始めました。
(正確には古英語の中にはv音は無いわけじゃないが、oferと書いてoverと読むなど、
fの音が時おり規則性を持ってv音に変化するくらいで「それ」を新たな文字として迎え入れるほどではなかった)
時は流れ、ロマンス語系のフランス語やスペイン語もv音の影響を受け始め、Vをヴと発音する単語が出始めました。
しかし、しっかりとしたUとVの区別が確立されるまでに1世紀以上もの長い年月を要したそうです。
それどころかしばらくの間、Vは「Uの子音」と呼ばれ、
19世紀になるまで「ヴェ」と呼名すら出来てなかったというのだから驚きです。
そんな最中に英語にも多くのv音を含むフランス語が流れ込んできて、このことにより英語もまた、
Vを受け入れ、それと同時にUとVの使い方があやふや期を過ごしたのかもしれないですね。
「ヴィー」の名称が出来た時期は良く分からないですが当時の英語圏の人からすれば言語の歴史とは異なり、
むしろVがUから誕生した位の気持ちなのではないでしょうか…。
↓
↓
月並みの例ですが、イタリアの高級宝飾店ブルガリの表記はこの頃の時代に習って「BVLGARI」としています。
そしてついにWの誕生に迫ります。
やっとです。
先に述べた通り、ラテン語ではw音は大昔に在るにはありました。
ですが次第にv音へと変化していきw音は消失してしまいました。
その為、英語にはw音を表す文字は必要無かったのですが、
実はw音は,ゲルマン系言語では色濃くに残っていたのです(特に語頭)。
英語はVの時と同様、今度はw音を表す文字が必要となりました。
ですが、Vはv音として認識するようになっていたのでそこでw音に一番近い音を表わそうとuを二つ重ねて uu という新たな文字を発明したのです。
そう。そもそもがuを重ねていたのだからダブルユーなのです。
ところがここでWが出来たわけではなく、一度道を逸れます。
uuを発明したにも関わらず、ゲルマン言語で使われていたルーン文字からƿ (wynn)をそのまま拝借し、11~13世紀辺りまで 使っていたそう。
せっかく作ったuuはと言うと英語では完全に使われなくなりました。
それでもuuはヨーロッパ諸語では奇跡的に採用されていたらしく、
当時のuは大文字はそのままVだったとかなかったとかで、そこからWの形へ進化していったみたいです。
で、形が似てるからというのもありますが、wは子音なのでVを使って表した方が良いという説もあったり、
フランス語や他のヨーロッパ諸語ではダブルブイとして受け入れられたということなのでしょう。
そしてなんと、その出来上がった文字Wが11世紀にノルマン人によって大量のゲルマン語と共に英語に逆輸入されるかたちで戻ってきます。
その時は既に一度uuの時に正式に決定してしまっていたので名前は変えずダブルユーを使ったと言うのが今回の結論です。
ƿ (wynn)は徐々に衰退していき完全にWに取って代わられました。
まぁ、こいつはpと似すぎてて間違えそうですし、逆輸入して逆に良かったですね。
まとめ
さぁ、こんな感じでまとめて見ましたが、いかがでしたでしょうか?
正直少し時系列的に怪しいところもあります。
ただ、このダブルユー問題の肝は英語にはV自体無かったということと、
wに近い音でuを選んだため、始めからu重ねてダブルユーを作っていたというところですね。
言語は必要に応じて色々変化してきたんだなぁと雰囲気だけでも感じてくれると幸いです。
それでは。
コメント